複合パスとは、複数のオブジェクトを一つにまとめて、一番下(最背面)の塗り・線をすべてのオブジェクトに適用させ、オブジェクトの重なる部分を抜いて透明に表示させる事ができます。
分かりやすい形でいうと、大小大きさの違う円を重ね、真ん中が抜けたドーナツのイラストを作れると思えば分かりやすいですね。
あとは応用として、クリッピングマスクとして使用することが出来ます。
文章だけでは分かりにくいと思いますから、さっそく図を見ながら説明を見てみましょう。
複合パスを作成する方法は2つあります。一つはメニューバーから[オブジェクト→複合パス→作成]。二つ目は、[右クリック→複合パスを作成]です。両方とも2つ以上のオブジェクトを選択してから行います。
そして、複合パスを解除する時は、作成する時と同じ手順で進めると作成が解除に表示されてます。
塗りのみのオブジェクトを3つずらして重ね、ピンクのオブジェクトを一番下(最背面)にして複合パスを作成します。
3つのオブジェクトが一つになり、一番下のピンクのオブジェクトに合わせて全ての塗りがピンクに変わり、オブジェクトが重なった2か所が抜かれて穴が空きました。
合体と違うところは一つにまとまっても各オブジェクトのパスはそのままです。
グループ化と違うところは、アピアランスを使用しても個別に塗り・線を変更ができないところです。
レイヤーは見た目と同じで複合パスとなって一つにまとまってます。
合体と違うところは、複合パスでオブジェクトが一つにまとまっても、①パスの形状はそのまま・②最背面に合される・③重なった部分が抜かれる・④解除ができるところです。
一つにまとまったといっても合体とはこんなに違いがあります。
中マドと違うところは、①アピアランスやダイレクト・グループ選択ツールを使っても個別に編集できない・②最背面に合されるです。
ピンクのオブジェクトを一番下にして複合パスを作成したので、全ての線がピンクに変わりました。
一番下のピンクの線のみのオブジェクトに合され、塗りのみのオブジェクトもすべてピンクの線のオブジェクトになりました。
一番下の塗りのみのオブジェクトに合され、全て塗りのオブジェクトにかわり、重なった部分に穴が空きました。
全てのオブジェクトが一番下のオブジェクトの塗り・線に合わされ、重なった部分は抜かれました。
上図のようにオブジェクトの重なる箇所が多いと、抜けない部分が出てくる場合があります。
抜けるはずの部分が抜けない場合は、<属性パネル>で調整します。[ウィンドウ→属性→塗りに奇偶規則を使用]を使います。
<属性パネル>を使うことで上図のように抜けない部分が抜けるようになります。
ただし、オブジェクトが3つ以上重なると<奇偶規則>を使用しても、抜くことができません。抜くことができるのは2重までですので気を付けてください。
複合パスを解除しても、オブジェクトは元の形に戻りますが、色は元に戻りませんので注意して下さい。
文字をアウトライン化して複合パスを作成し、その後クリッピングマスクを作成します。
詳しくは「複数のオブジェクトで画像を切り抜く方法(Illutrator)」を参考にしてください。
文字のみで画像を切り抜く場合はアウトライン化しなくてもできるで、「写真を文字で切り抜く方法(イラストレーター)」を参考にしてください。
クリッピングマスクで文字と星の部分が切り抜かれたので、下の画像が見えるようになりました。普通クリッピングマスクは見えないように隠すものですが、複合パスを使ってのクリッピングマスクは、見せたい部分が見えるようになるので、反対の効果があります。
難点は他がすべて覆われてしまうことですね。
今回、図を通して分かり易く説明していきました。複合パスは使い方によってさまざまな表現ができます。
何よりもいろいろと試してみることが大事ですから、さっそくオブジェクトを重ねて試してみましょう
クリッピングマスクについては「イラストレーターで写真を切り抜く方法」がありますので参考にしてみて下さい。