アピアランスを分割とは見せかけの形や効果を本物の形に変えることです。
イラストレーターを使っていると意味がよく分からない言葉が出てきますね。
アピアランスを分割もその言葉の一つ。私も最初は意味が分かりませんでした。
アピアランス=外観。うわべ。見せかけ。
見せかけのものってたくさんありますよね。
見せかけの政治家、見せかけの愛、見せかけの髪の毛。
一方で見せかけの反対は本物です。
本物の政治家、本物の愛、本物の髪の毛。
世の中に見せかけのものはたくさんありますが、実はイラストレーターの世界にも見せかけの形や効果がたくさんあるんですね。
アピアランスを分割とはこうした見せかけの形や効果を本物の形に変えることを言います。
まだピンとこないかもしれません。実際に例を見た方が早いですね。
上の図は直線にハートのブラシを適用させたものです。
どこからどう見てもハートです。半透明のハートがランダムに表示されています。
しかし騙されてはいけません。このハートはあくまで見せかけのものです。
上のハートをアウトラインで見てみましょう。(表示→アウトライン)
お分かりですか?
私たちがハートだと思っていたものは本当はただの直線だったのです。
では実際にアピアランスを分割してみます。
直線にアピアランスを分割を適用させます。(直線を選択して、オブジェクト→アピアランスを分割)
パスの形を見てください。直線だったパスがハートのパスに変わっています。
つまり、アピアランスを分割することで見せかけのハートが本物のハートに変わったのですね。
さて、アピアランスを分割について何となく分かったところで。
続いての疑問が、なぜアピアランスを分割するか?です。
「なんだかさぁ、ややこしい事をしても結局はハートのままじゃん!」とツッコミを入れられそうです。
確かにアピアランスを分割しても見た目上に変化はありません。
上の例を見ても分かる通り、見た目上、ハートはハートなのです。
ではなぜアピアランスを分割するのでしょうか?
アピアランスを分割する理由はいくつかありますが、代表的なものを書きます。
1.個別の編集が出来る。(ハートを1つ1つを編集することができる。)
2.イラストレーターで作成されたオブジェクトを他社のソフトで見た場合でもきちんとハートの形状が表示される。
例えばハートを一つ一つ違う色、違う大きさにしたいと思います。しかし、アピアランスを分割しないと一つ一つのハートの色や大きさを個別に編集することはできません。本当はただの直線ですから。個別に編集することはできないんですね。
一方でアピアランスを分割したハートは個別に編集することができます。色を変えたり大きさを変えることも可能です。(ただし、アピアランスを分割をしてもオブジェクトはグループ化してますので一度グループを解除する必要があります。)
また、イラストレーターで作成されたオブジェクトを他社のソフトで読み込んだ場合、アピアランスを分割していないと元の形状が表示されてしまいます。(上の例では直線が表示されてしまう。)これでは何の形かさっぱり分かりませんね。しかし、アピアランスを分割をすることできちんとハートの形を表示することができます。
こうした理由からアピアランスを分割するんですね。
一方で、アピアランスを分割して生じるデメリットもあります。
一度、アピアランスを分割しますと分割したオブジェクトはアピアランスパネルで編集できなくなります。[効果]でもうちょっと手直ししたいなと思っても編集ができないんですね。
ですのでアピアランスを分割する際は、もう[効果]などで手直しをする必要がないところで行うと良いですね。
長々と書いてしまいましたね。お疲れ様でした。
今回はアピアランスを分割をザックリ解説してみました。
難しい説明を省き、分かりやすさを優先したつもりです。
なかなか難しい概念ですね。しかし、慣れればなんてことないです。
まずはご自身でイラストレーターを起動させ、アピアランスを分割を体験してみてください。
習うより慣れろです!