今回はイラストレーターから「パスのオフセット」の使い方をご紹介します。
「パスのオフセット」と名前だけを聞くとよく分からない機能に感じますが、様々な場面で使えるので、覚えとおくととても便利な機能です。
パスのオフセットとは、選択したパスを基準に、設定した値の位置(距離)に新しくパスを作る機能です。
上図は選択したパスから、20px離れた位置に新しいパスを作成した状態です。このように、元のパスの外側や内側に大きさ違いの同じ形状のパスを作ります。
パスのオフセットでは、元のパスより大きくしたり小さくしたパスを作成しますが、「拡大・縮小ツール」とは異なります。
オブジェクト(パス)を選択し[オブジェクト→パス→パスのオフセット]で、ダイアログの値を設定します。
設定する値は、選択したパスからどれだけ離れた位置に、新しいパスを作るかになります。
設定した値が「+」の場合は選択したパスより外側にパスが作られます。「-」の場合は選択したパスより内側にパスが作られます。
オフセットで作られたパスは、値が「+」の場合は選択したパスより背面に、値が「-」の場合は選択したパスより前面に作られます。
パスのオフセットで作成したパスの角は、元のパスの角と違う形状にすることができます。
[角の形状]
オフセットで作成する角の形状は3種類あります。
マイター:選択したパス(オブジェクト)と、同じ角の形状のパスが作成されます。
ラウンド:角が丸いパスが作成されます。
ベベル:角が面取りされたような形状のパスが作成されます。
元のパスの角が尖っている時「角の形状:マイター」を選択すると、尖った角のパスが作成されます。
この時、比率の値によってベベルのように面取りしたような角にすることもできます。角をとがらせる時は値を大きく、面取りしたような角にする場合は値を小さくします。「比率」の値は角の角度にもよるので、プレビューで確認しながら設定します。
パスのオフセットで作られたパスは、元のパスより大きくなったり、小さくなったりしますが、「拡大・縮小ツール」とは異なります。
上図は左図が「パスのオフセット」、右図が「拡大・縮小ツール」でパスを大きくしたものです。パスのオフセットは元のパスから、一定の幅でパスが作られています。一方、拡大・縮小ツールは元のパスよりずれて、大きいパスが作られているのが分かります。
このように「パスのオフセット」では形状が同じままパスを大きくしたり小さくできますが、「拡大・縮小ツール」では元のパスと形がズレてしまいます。
特に縁取りの文字を作る時に重宝します。この時、角の形状を変えるだけでもロゴの印象が変わってきます。
このフレームでは大きさ違いのフレームをいくつか重ねて立体感をだしています。このような複雑な形のオブジェクトを大きさ違いで重ねる時は、パスのオフセットが適しています。
パスのオフセットには上記以外の使い方が沢山あります。必要に応じて使い分けてみて下さい。